FUJIFABRIC 20周年 SPECIAL SITE

FUJIFABRIC 20周年

ノンフィクションとは

2017年の初頭だっただろうか、関西エリア担当イベンターであるYUMEBANCHI・K氏からフジファブリックの15周年を大阪城ホールのワンマンライブで飾りたいと聞いた。

当時のフジファブリックはワンマンでもZepp Nambaくらいの規模(キャパ2000ほど)だったので、「えっ!? どうやって…そんな山を登りきるのか!?」と相談を受けた私もかなり半信半疑だったのを覚えている。当初の関西における動員は悪くなかったとは言え、無謀ともいえる挑戦だった。しかし、それからというもの、フジフレンドパーク、ハナレフジ等、多彩なメニューをこなしながら、FM802からも山内総一郎ソロでのアコースティックイベントに声をかけたり、数々のイベントに出演してもらいながら大阪でのストーリーを作り続けた。中でも記憶に鮮明に残っているのは2019年6月のFM802開局30周年の大阪城ホールイベントでホストバンド役を務め上げたこと。この日30年の歴史を誇るFM802 お馴染みのラジオヒッツを見事に再現してくれた。
これらは紛れもなく、メンバー3人の努力と、それを支えるスタッフチームのアイデアとサポートが結実した結果だった。そして、彼らを囲む1つ1つの輪が大きくなり、自身初の大阪城ホールワンマン、『フジファブリック 15th anniversary SPECIAL LIVE at 大阪城ホール2019「IN MY TOWN」』をSOLD OUTさせたのだった。気付けばボーカルの山内総一郎と私はまったくの同世代、同い年ということもあり、いつしか彼らの挑戦は自分の挑戦! とも捉えていたのかも知れない。そんな思いでFM802も一緒に走り続けた。

それからあっという間に5年の月日が流れる。このうち直近の3年近くはコロナ禍だったのであっという間というのも無理はない。本当に多くの人にとって、大きな空白を作る数年となったのだから—。
フジファブリックもまた、コロナ禍という時期を悩み苦しみながら、でもその中でメンバー3人がそれぞれ1歩ずつ歩みを止めずに動いてきたバンドだった。
そんなフジファブリックが20周年の節目、前回の挑戦から5年、再び大阪城ホールの舞台に立つという話を訊いた。(今度も、5年前ほどではないが、ちょっと身の引き締まる思いは地元メディアに携わる者として感じている)
「結成10周年」、「メジャーデビュー何周年」なんて切り口は、アーティストの活動の戦略の中で使われるケースも少なくはないので、もちろん彼らの20周年も「祝いたい」ムードと、何をやってくれるのかという「ドキドキ」「ワクワク」した好奇心が掻き立てられるものの、2004年のデビューから20年…。このバンドほど、言葉以上にその年月に重みがあるというか、決して平たんでは迎えることのできなかった20年をそこに感じる。

御存知の通り、2009年末からの数年間、特に2011年に現体制での初アルバム『STAR』を発表するまで、フジファブリックというバンドは事実上活動を止めざる得ない期間があった(その間、『MUSIC』のリリース、吉井和哉のバックバンドを3人が務める等、細かなリリースや発表毎などはあったものの、実際に現体制での作品リリースにたどり着いたのは2011年9月のことだった)。この間にも多くのバンドやミュージシャンがフジファブリックというバンドを支えていた。事務所の先輩にもあたる奥田民生、真心ブラザーズ、氣志團から、斉藤和義、吉井和哉ら大御所まで、 そんな中でもひときわ大きな存在だったのが、今年の大阪城ホールで対バンとして迎える 彼らと同世代にあたるバンド、くるりとASIAN KUNG-FU GENERATIONの2組だ。

山内総一郎はくるりのサポートとして、2010年の『京都音楽博覧会』から参加。ツアー『言葉にならしまへん、笑顔を見しとくれやしまへんやろか』では、日本武道館でのファイナル公演もサポートとして出演し、くるりのレコーディングにも参加している。また、金澤ダイスケも同時期をきっかけにASIAN KUNG-FU GENERATIONのツアー『Tour 2010-2011 VIBRATION OF THE MUSIC』やレコーディングにも参加している。この頃の動きが築き上げていった人間関係が、後のフジファブリックのメンバー3人それぞれがそれぞれの個性をより際立たせていくような活動にも繋がっているのだと、いま振り返れば思うところもある。今では、ラジオFM802の企画でも、山内の稼働のみならず、本をテーマにしたイベントや、怪談話イベント(笑)に加藤慎一が出演したり、、、料理イベントに金澤ダイスケがASIAN KUNG-FU GENERATIONの伊地知潔と参加したり、、、と。彼らの人柄こそが彼ら自身の音楽を広めるきっかけになっている。実際にそんな切り口から彼らの音楽を知った、ライブを知ったリスナーも少なくないのではないだろうか。

そして、改めて。この20年目のステージに彼らが対バン相手として迎えるのが、くるり、 ASIAN KUNG-FU GENERATIONという2組のバンドだ。この3バンドは2000年初期からこの20年に渡って活動し続けているバンドであり、いわゆるロックフェスが全盛期であった時代において、35分、40分といった持ち時間の中、ごまかしや失敗の利かないステージで切磋琢磨し、自分たちの音楽や存在意義を証明し続けてきた紛れもない〝生き続けている″バンドたちである。それぞれのメンバーが技巧派であり、しっかりとしたバンドアンサンブルを軸に、ライブという表現を中心に邦楽のロックシーンを支えてきた立役者と言っても過言ではないだろう。そんな象徴的な3バンドが2024年11月10日に大阪城ホールに集うのだ。
この大阪城ホールはそれぞれのバンドが歩んできた人生のストーリーがぶつかり合う舞台であり、それは、現在進行形のリアルな彼らのこの20年そのものであるのだ。是非多くの音楽リスナーにこの3バンドの「ノンフィクション」を目撃して貰いたい。

株式会社FM802 802編成部 今江元紀